インタビュー : 先人からの贈り物を次世代に〜生みの親に聞く【5】

道具を使いこなすには、発明者が何を思ってそれを作ったのか、その思想を理解することが近道。そこで、usp Tukubaiの生い立ちを、生みの親である當仲氏に語ってもらった。

先人が積み上げた技術を得て、エンジニアとして自律して欲しい

Tukubaiを通じ、改めて技術者に伝えたいことはありますか?

イメージしているのは、「エンジニアの自律と協働」です。僕が良く使う言葉なんですけど、自分で立つじゃなくて、律する方の自律ですね。

技術は自分でストイックに勉強していかなきゃいけない。だけど、技術が進歩していくならば、シンプルなことで物事が進むわけで、技術を追いかける時間を減らせるんです。昔はOSのインストールでも丸一日かかったのが、今は20分とかで出来るわけです。その余った時間で酒を飲むのも、デートするのも、それでも別にいいんですけど、とにかくその時間を活かして自分のことを見つめ直す時間にあてて欲しいです。

Open usp Tukubaiを使えば、先人が積み上げた技術によって、時間や精神的な余裕を生み出せるでしょう。その余裕を使って自律をして欲しいです。そういう自律した人たちが共に働いて、独りじゃ成し得ない大きな仕事してくれたらな、と思います。突き詰めれば、原点に立ち返り、働くことの意味とか目標を見つめ直すきっかけになってもらえればと思います。

シェルはベーシックなものなので階段も下りやすいです。一から勉強し直そうと思えばいつでも出来ます。そうやって原点回帰して、今現在の自分の立ち位置を振り返ると、毎回、新しい発見が出てくると思います。惰性に流されるのではなく、日々新しいものを見つけて欲しいですね。

新技術と枯れた技術の違いを言い表すために當仲氏が描いた絵。噴火に目を向けるのが新技術に注目することで、噴出物が堆積した土地を耕し畑にするのが、枯れた技術を洗練させること。氏は後者が好きだという。

インタビュイー

當仲寛哲(とうなか・のぶあき) : 1966年生まれ、兵庫県出身。株式会社ダイエー在籍時に、UNIXシステムを再勉強し感銘を受ける。そこで学んだUNIX的発想を活かし、当時年間数百億円費やしていた社内システム維持費を数十億円に削減させ、社長賞を受賞。2004年独立し、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所を創立。現在に至る。

USP MAGAZINE Vol.4「特集1 ついに始動Open usp Tukubaiプロジェクト第二章 先人から>の贈り物を次世代に」より加筆修正後転載。

usp Tukubaiユニバーサル・シェル・プログラミング研究所の登録商標。

Last modified: 2014-01-13 00:00:00