UECジャーナル

ユニケージエンジニアの作法 心得三箇条

ユニケージ開発手法はソフトウェア開発におけるひとつの型だ。処理対象となるデータはテキストファイルである。収集されたテキストデータは目的とする処理がしやすいところまで形式が変換され、最終的にフィールド形式のテキストデータにしてから処理が実施される。ユニケージ開発手法は作法を重要視しており、ユニケージエンジニアとしてのスキルをアップするには作法をより深く学ぶ必要がある。

大工とユニケージエンジニア

ユニケージ開発手法で使われるコマンド群がusp Tukubaiだ。これは言わば大工の七つ道具に相当する。優秀な大工がいて、ある大工がその優秀な大工の使う道具を譲り受けたとしても、それで立派な建物を建てられるようになるわけではない。能力は道具ではなく大工の方にある。ユニケージ開発手法における実力は、usp Tukubaiそのものではなく、それを使うユニケージエンジニアにある。

大工とユニケージエンジニアで、一つだけ大きく違うところがある。大工は高度な技術を身に付け、日々その能力を発揮し、素人には真似できない仕事をする。一方、ユニケージエンジニアは、高度な専門知識や技術を身につけても、普段はそれを活用しない。むしろ、誰でも真似できるように噛み砕き、あえて高度ではないやり方で仕事をする。

人間の手作業を自動化するということ

高度な技能を使うのではなく、なるべく簡単に平易に仕事をするのは、ユニケージ開発手法の根柢に「業務システムは人間の手作業を自動化したもの」という考え方があるからだ。

PCが普及する以前は、人は紙の書類で事務作業を行なっていた。仕事は増え続けていくものの、よいタイミングでPCが登場する。膨大になった書類の処理を自動化するのに最適なデバイスの登場である。ただし、このPC自体は高度な処理が可能だが、それを扱う人間は、必ずしも高度なわけではない。

常に技能を求められる職人仕事は別だが、事務仕事における人間の作業内容はそれほど複雑ではない。というより、ルーチンワークになるところまで分割されていることが多い。あまり複雑にしすぎると、業務が属人化して引き継ぎが難しくなり、人材流動のある企業活動が現実的ではなくなってくる。

人が理解できるレベルでの処理をPCにやらせるのに、これまでの担当者が理解できないような高度な技能が必要となるようなやり方をする必要はない。これまでと同じレベルでの難しさで開発および操作できる必要がある。ユニケージ開発手法はこの考え方に基づいている。

心得三箇条

こうした考え方を踏まえてユニケージエンジニアがたどり着いた型が、テキストとしてのデータ、シェルスクリプトによるプログラミング、いくつかの専用コマンドだ。この型は、業務をシステム化したい現場の担当者に開発のノウハウを伝承することも含んでいる。

ユニケージ開発手法では、こうした当初の目的を忘れることがないように心得三箇条をもっている。

ユニケージ開発手法は自動化と誰でも使用できることに注力した結果、わかりやすさと作業時間短縮を強く意識させるものになっている。多くのユニケージエンジニアが勤務する新橋では、「不慣れな技術はやめて、慣れてる技術で片づけてさっさと飲みに行こう。新橋の店は閉まるのが早い」というフレーズが飛び交っている。

ユニケージユニバーサル・シェル・プログラミング研究所の登録商標。

usp Tukubaiユニバーサル・シェル・プログラミング研究所の登録商標。

USP MAGAZINE Vol.3「第一回 ユニケージエンジニアの作法」より加筆修正後転載。

Last modified: 2014-01-13 00:00:00